展覧会「アメイジング・チャイナ 深淵なる中国美術の世界」が、東京・白金台の松岡美術館にて、2023年10月24日(火)から2024年2月11日(日・祝)まで開催される。

明・清時代の絵画や陶磁器、翡翠などを展観

展覧会「アメイジング・チャイナ 深淵なる中国美術の世界」では、事業家の松岡清次郎が蒐集した、北斉～唐時代の小金銅仏や明～清時代の漆器、陶磁器、絵画、清時代の翡翠や白玉などの玉器を紹介。細部に至るまで美しい工芸品の粋や、長い歴史に育まれた中国文化の奥深さを感じ取れる展覧会となっている。

明清絵画の精華や清時代の玉器

会場では特に、画冊と画巻の優品を、会期の前期は明代、後期は清代に分けて展示。加えて、題字や書物のあとがきである跋文も展観し、明清時代の画家と文化人との交流についても紹介する。

また、超絶技巧を堪能できる《翡翠白菜形花瓶》も見どころのひとつ。高さ26.7cmというほぼ実物大の白菜を翡翠で作った作品だ。黄変した葉先が自然に開く様子や、葉先に止まる4匹のキリギリスたちの長く伸びる触覚と脚部の繊細な造形が表現されている。硬玉である翡翠を精緻に細工するには高度な技術と長い時間を要するため、こだわって作られた細部にぜひ注目してみてほしい。

ここでモチーフとなっている白菜は花嫁の清廉潔白を、キリギリスやイナゴといった昆虫は子孫繁栄の願いを表すことから、翡翠の白菜は結婚の縁起物とされていた。清時代中頃より制作された翡翠の白菜は、しばしば嫁入り道具として、富裕で高貴な女性の婚礼品として使用されていたのである。

明時代を代表する文人画家と市民との交流

さらに、明時代を代表する文人画家、沈周(しんしゅう)・文徴明(ぶんちょうめい)・唐寅(とういん)らの交流も紹介。沈周は、書画の一派である呉派の祖とされる文人画家であり、弟子である文徴明は、後に蘇州画壇を指導し呉派の立場を確かなものにした。同じく文人画家の唐寅は、同い年の文徴明と親しい交流があった。

当時の蘇州では、市場経済の発達と共に文化・芸術が栄え、優れた文人画家が集い、彼らの作品を豊かな市民が蒐集するといった文雅な交流が行われていた。会場では、沈周《縹緲峰(ひょうびょうほう)図巻》の展示を通して、蓮花の咲く水辺に描き込まれた沈周・文徴明・唐寅の3人が舟遊しようとする様子や、文人画家とコレクターとの交流の一端を読み取ることができる。

展覧会概要

企画展「アメイジング・チャイナ 深淵なる中国美術の世界」
会期：2023年10月24日(火)～2024年2月11日(日・祝)
※企画展の中国絵画のみ全作品入れ替わる
[前期] 2023年10月24日(火)～12月10日(日) [後期] 2023年12月12日(火)～2024年2月11日(日・祝)
会場：松岡美術館
住所：東京都港区白金台5-12-6
開館時間：10:00～17:00(入館は16:30まで)
※毎月第1金曜日は10:00～19:00(入館は18:30まで)
休館日：月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(2023年12月29日(金)〜2024年1月4日(木))
観覧料：一般1,200円、25歳以下 500円、高校生以下・障がい者手帳の所持者 無料
※会期や開館情報は変更となる場合あり(最新情報については、美術館ホームページなどを確認のこと)

■同時開催
「昭和の日本画と洋画 松岡翁 晩年の眼力」
■通年企画
「古代オリエント 創造の源」

【問い合わせ先】
松岡美術館
TEL：03-5449-0251