展覧会「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」が、愛知の岡崎市美術博物館にて、2023年9月16日(土)から11月5日(日)まで開催される。

関西以外では初、吉岡常雄・幸雄の回顧展

古代において、染織品は美と富を象徴するものであった。たとえば紫は、貴重な色として尊ばれてきた。現在では失われたこれらの色彩を追い求めてきたのが、京都で江戸時代から続く染色工房「染司(そめのつかさ)よしおか」の4代目・5代目当主の吉岡常雄・幸雄親子である。

日本では、近代に化学染料が西洋からもたらされるまで、植物をはじめとする自然の素材を用いて色を染めていた。吉岡常雄・幸雄のふたりは、古来の文献をひもとき、美術工芸を研究し、世界各地の染織品と技術にふれることで、自然の染料による日本の伝統色の再現を試みてきたのだ。

展覧会「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」は、関西以外では初となる、吉岡常雄・幸雄の仕事を紹介する回顧展。社寺の祭祀や、『源氏物語』をはじめとする古典文学を彩る日本の伝統色を再現した、染織品の数々を展示する。

染司よしおか4代目当主の吉岡常雄は、とりわけ飛鳥・天平時代の染織品の研究に注力し、その成果は法隆寺や薬師寺、東大寺などの古代寺院を飾る品々の制作に反映された。そして、染司よしおか5代目当主の吉岡幸雄は、この仕事を受け継ぎ、さらに東大寺正倉院や寺社に伝わる染織品の復元に取り組んだ。本展では、東大寺二月堂修二会(お水取り)で供えられる椿の造花用の染め和紙など、現在の染司よしおか工房にも継承される“祈りの色彩”にまつわる仕事を目にすることができる。

また、大陸から日本に伝えられた色彩は、平安時代を通じて、日本の風土のなかで独自の洗練を経た。とりわけその例は、日本の自然や四季の移ろいを、色を組み合わせた「かさね色」で表現したことに見ることができる。本展では、吉岡幸雄が情熱を注いだ、『源氏物語』に見る色彩の再現に着目。さまざまなかさね色をはじめとした、作品の登場人物がまとう色彩を現代によみがえらせた染織品を紹介する。

展覧会概要

展覧会「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」
会期：2023年9月16日(土)〜11月5日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
［前期 9月16日(土)〜10月9日(月・祝) / 後期 10月11日(水)〜11月5日(日)］
会場：岡崎市美術博物館
住所：愛知県岡崎市高隆寺町字峠1 岡崎中央総合公園内
開館時間：10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日：月曜日(9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
観覧料：一般 1,000円(900円)、小・中学生 500円(450円)、未就学児 無料
※展覧会限定フリーパス「リミパス(Limi-pass)」は1,500円
※( )内は各種割引および20名以上の団体料金
※各種障がい者手帳の所持者および介助者1名は無料
※岡崎市内在住・在学の小・中学生は無料

【問い合わせ先】
岡崎市美術博物館
TEL：0564-28-5000